医療ビジネス

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生活習慣を見直して健康な体になろう

 以前投稿した「改革項目」の中の「生活習慣病治療薬等の処方のあり方」について考えてみたいと思います。厚生労働省の資料には

生活習慣病治療薬の処方は、性・年齢、進行度、副作用のリスク等に応じて、基本的には個々の患者ごとに医師が判断すべきものであるが、例えば、高血圧薬については、我が国では高価なARB系が多く処方されている。

 

と記されています。

 生活習慣病とは、簡単に述べると、食習慣、運動習慣、喫煙、飲酒、休養などの生活の習慣が発症・進行に関与する疾病を言います。一番身近なのは糖尿病や高血圧や脂質異常症などでしょう。これらは生活の習慣を見直すことで治すことができるのですが、一方、薬で治すこともでき、悪いことにこれらの薬の種類が本当に多く、なおかつ、新薬を作りやすいという流れになっています。

 医師は、新しい薬が出ると、患者さんに処方してどの程度効くのか?知りたいと思うのも無理がありません。私たちが新しいスマホが出ると買いたくなる、新しい電化製品が出ると買ってみたくなるのと同じで人間の知りたい欲求にかなっています。しかし、新薬は薬価が高く、医療費を押し上げている要因になっています。

 がんの新薬は土俵が違うので脇に置いておいて、これらの生活習慣病に関連する薬剤は、これまでの様々な臨床研究から実はあまり効果が抜群に良くなったということがないのがほとんどで、昔のやすい薬でも良いのではないのか?また、新薬は帰って今まで認識していなかった副作用が出て使いにくいのはないかと言われることも多々あります。

 見方を変えて、製薬メーカーにしてみればこれらの生活習慣病薬剤は安定的に売れるので、経営の安定化に繋がります。そして、これらの薬剤の利益を新たながんなどの新薬の開発に充てていかなければならないということになります。

 さらに私たち国民から見れば、生活の習慣を見直すことで治るものなら、生活の習慣を変えるほうが自然であると思いますね。本人にとって一番良い選択枝であると言えますね。

先日、スタンフォード大学の河合真先生から貴重なアドバイスを受けました。先生の許可を頂きましたので、紹介させて頂きます。

 

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在宅医療も地域包括ケアも知られていない

 あるサイトに辻彼南雄先生(水道橋東口クリニッック)の談話が載っていました。曰く、「在宅医療のことを知っている患者はほとんどいない」。思わず頷いてしまいました。実は、過日一般の方々に介護保険について講演をいたしました。講演後、アンケートを取ってびっくりしました。介護保険の話を聞きに来られるからには介護についてある程度認識がおありだろうと思ったのですが、下のグラフを見ていただくとわかりますが、すでに介護をしている人もおられるにもかかわらず、地域包括支援センターをご存知の方が、たった25%しかいなかったのです。

 

 言わんや、その向こうの在宅医療について認知度は想像にかたくないでしょう。私が特に強く印象残っているのは、介護に従事する人々が在宅医療(訪問診療)についてよく理解していないということです。介護と医療は別物という感覚です。しかしながら、介護を要する人は、何らかの医療的処置を必要とする人です。ごく稀に認知症の人で全く薬を飲んでいない人がおられますが、大変稀で、ほとんど人は服薬をされています。

 

 現在、「在宅医療・介護連携推進事業」を国が進めていますが、そのうちの「医療・介護関係者の情報共有の支援」はまだ50%も満たない状態です。それほど、医療従事者と介護従事者の連携は難しいのでしょう。

 

ま、それはともかく、地域包括支援センターが一般に認知されていないことを介護従事関係者は危機感を持たないといけないと思います。

 

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関西と関東のつゆの違いは

 寒くなってくると暖かいお蕎麦をいただく機会が増えてきます。いつも関西と関東のつゆの塩分が気になる私は知り合いの管理栄養士Aさんに実際のところどうなのか聞いてみました。関東のつゆは確かに黒くて塩分が多そうだけれど、関西は薄口醤油を使っているのであまり変わらないのではないかと思うと述べられて、実際に関西の友人管理栄養士や資料を調べてくれました。

 結果、やはりあまり変わらないということです。Aさん曰く、「実は関西で使っている醤油は色の薄い『薄口しょうゆ』 、関東では色の濃い 『濃い口しょうゆ』を使っています。 使っている出汁は関西では昆布だし(塩分濃度0.27%)、関東ではかつおだし(塩分濃度0.1%)薄口しょうゆの塩分濃度は16%、濃い口しょうゆの塩分濃度は14.5%です。ということはあまり変わらないということですね。」

 また、そばにいれる具にも注意が必要とのこと。きつねうどんのおあげさんは2枚で塩分1.0g、わかめ0.1gと相当開きがあるそうです。つまりきつねうどんを汁まで全部飲み干すと8.4gと一日の塩分摂取量を超えてしまいます。

 なお、有名はどん兵衛は関東6.6g、関西5.8gと差をつけているそうです。何れにしても温まるからといって、汁を飲み干すことはあまり良くないということです。

 管理栄養士Aさんの書かれた記事はこちらをどうぞ!

 

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遠隔医療は進んできた

 このような記事を読むと、本当に遠隔医療が身近になったと感じます。1998年か99年ごろに北海道大学病院(だったと思う)の看護師の佐藤仁美さんにお会いしたとき、携帯電話で在宅療養している患者さんの褥瘡を医局へ送って医師の指示を仰ぎ処置をしたという話を伺いました。論文で発表もされてます。まだ回線のスピードも大変遅く、画像の大きさも携帯電話で見る大きさだったんで、細かいところは音声で補完してやりとりをしていたそうです。まだ、当時はインターネットを使った試みは始まったばかりでしたので、病院で取り組むほどの大かがりなものではなく、あるものでやっていたという感じがしました。

 同じ時期、大阪では、阪大病院と泉佐野りんくう総合医療センターが専用回線を使って、腹腔鏡手術を阪大から指示を出す試みをしていました。動画をやりとりするにはインターネットではほぼ不可能で専用回線が必要な時代だったんですね。阪大の先生(お名前は失念しました)がその先の展望として、宇宙ステーションでの手術を可能にしたいんだと仰っていたのを覚えています。

 技術的な問題点はこの20年ほどで乗り越えてきたのですから、いよいよ積極的に導入して成果を出すべき時期に来ていると思います。

 

付け加えるとすれば、すでに20年前には、和歌山県立医科大学田辺市などで撮影したレントゲンを回線で大学に転送して、地元医師にアドバイスを行なっていました。ですから、記事を書いた記者は知らないけれども、もうとっくに「本当に」救いになっていたのです。無知とは恥ずかしいことです。

 

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終末期のヘルパーの役割

 以前、行われたケアカンファレンスでは、終末期の患者さん(90歳以上、男性、独居)についてケアマネージャーを司会に、医師、看護師、ヘルパー、ディサービスなどを交えて意見交換を行った。ケアマネージャからこの1ヶ月ほどの現状報告を総括してもらいながら、それぞれの職種から細かな報告をいただいた。この患者さんの場合、いつ旅立たれてもおかしくない状態であるので、これからの介護の方法や、その時を迎えた時の対処の仕方を再確認するという事になり、それぞれの職種から医師へ質問し、医師からアドバイスを受けながら詰めていった。詳細は省略するが、点数稼ぎのケアカンファレンスも多い中、総勢16名参加のカンファレンスは意義のある1時間であった。

 ここで、特に銘記したいのは、ヘルパーの心構えである。今般、ヘルパー募集の求人は多く、それは、要介護者へのいろいろなサービスであり、お世話をするのが好きで人付き合いの良い人はなりたい職種の一つであり、そうして希望する人も多いと思う。インターネットで「ヘルパーの仕事」で検索すると、どのような仕事をするか紹介されているが、それは事業者から依頼を受けたら、利用者の家に自宅から直接行って、指示された内容のサービスを提供し、仕事が終わったら、報告書を書いて、帰るというおおよそそのような説明がされている。

 しかし、そのような元気な状態の介護が永遠と続くわけもなく、最後は看取りの時を迎える。ヘルパーはその最後に遭遇する機会が誰よりもあり、この時に慌てずに対処しなければならないのだが、人の死を目の前にして、滞り無く仕事を全うするには、いわゆる介護サービスという領域からは外れてしまっており、おろおろするということになってしまっている。やおら、事業所へ電話を入れるも、事業所のスタッフが状態を知るすべもなく、こちらもオロオロして医師への連絡が遅れてしまったり、取り急ぎ、救急車を呼んでしまい、病院へ搬送してしまって担当医師への連絡がなくなってしまったりする事もおこる。

 今回も介護サイドからは不安の声があり、ケアカンファレンスでもヘルパーからはその時を迎えたときの、対処の仕方を再確認してもらい、安心して仕事を進めてもらうようにした。かようにヘルパーの仕事は難しい場面もあり、このような場面に遭遇するとはおもや思わず、ヘルパーになろうとする人も多いのではないだろうか。

 

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来年から始まるスイッチOTC薬控除(医療費控除の特例)

 先日投稿した「改革項目」の中の「スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率のあり方」について書いてみます。

 昨年の12月に示された平成28年度税制改正の目玉改正に薬局で買った薬も医療費控除にするというものがあります。問題もあることはありますが、医療機関にかからずに薬局で薬を買う行為を持ってセルフメディケーションを根付かせようとするものです。もちろんこれは41兆円を超えた医療費を抑制する効果を狙ったものであることは言うまでもありません。ポジティブに捉えるならば、医療機関へ出かける手間暇を省けるので自分ならそうすると言う人も多いと思います。

 具体的には、適用期間は平成29年1月1日から平成33年12月31日まで。対象者は健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組(特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診)をした人です。これらの人が対象となるスイッチOTC医薬品を年間1万2千円を超えて購入した場合、その年分の総所得金額等から控除する、というものです。対象となるOTC医薬品は1,525品目(平成28年10月17日時点)で主だったものに、非ステロイド系消炎鎮痛剤のインドメタシンイブプロフェンフェルビナク・ジクロフェナク、ステロイドプレドニゾロン吉草酸エステル 、抗アレルギーのクロモグリク酸 などです。

 ここで疑問が起こってきます。もともとの趣旨は「健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人」となっています。その上で一定の取組(特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん検診)ということになりますと、高血圧、糖尿病、脂質異常症などが生活習慣病が一番多いと思うのですが、アレルギーや胃炎や消炎鎮痛、水虫の薬が健康の維持増進や疾病の予防とどれほど関係があるかというと疑問が起こってきます。(どちらかというと一過性の傾向が強い)本来の趣旨からすると、高血圧の薬や血糖値を下げる薬などが対象薬品として入ってしかるべきだと思います。

 まぁ、大人の事情なのでしょう。つまり、OTC医薬品で治せるような一過性の症状はOTC医薬品で治してもらってできるだけ医療機関にかからないでほしい、結果、医療費の抑制になるし、本来医師が診なければならない患者に時間を取ることができる。これが本当に趣旨であると感じます。

なお、

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科学的根拠のない薬は昔からあります

 週刊朝日「最新調査で判明! 科学的根拠の“ない”薬は当たり前に存在した!」という記事が出ました。一般の人には、「そうなんだ!!」と思われるかもしれませんが、この業界では当たり前、というよりも大昔からそうでした。EBM(evidence-based medicine)が注目を集めたのは1998年ごろだと記憶しています。まだ、英語版の書籍しかなく医療関係者はこぞって翻訳本を読んでいたようです。ですので、EBMが日本に紹介されてまだ17年ほどしか経っていません。

 それまでの医薬品の開発は、いろいろな作用を試験した結果、効果の高い適用で厚生労働省に申請して医療用医薬品と世に出していました。例えば、ヘルベッサーという薬剤はもともと向精神薬として開発していたのですが、冠血管拡張作用があることがわかり抗狭心症薬として発売になりました。今では、カルシウム拮抗剤として知られていますが、カルシウムイオンがカルシウムチャンネルを通って細胞内に入ると細胞が収縮するという現象はヘルベッサーの後にドイツで発見されました。このようにとりあえずこれこれに効くから薬にしようという開発が多かったと思います。
ヘルベッサーの開発の歴史は「国立研究開発法人 科学技術振興機構」のページを参照してください。

 また、それぞれの地方で古くから伝わる「これを煎じて飲むと体調が良くなる」といった民間薬も、そもそもエビデンスがないですし、いわゆる漢方薬エビデンスがほぼありません。写真は、牛久にあるツムラの研究所で漢方の歴史を学んでいるところです。ツムラさんもエビデンスを増やすために、臨床試験を始めているところです。

 ですので、科学的根拠のない薬は怖くて飲みたくないと不安に思う人もいると思いますが、民間薬や漢方薬のように長い歴史の経験上有効であると示されてきた薬剤もあると認識する必要があるでしょう。

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*1:牛久にあるツムラの研究所