医療ビジネス

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高額療養費制度は若者に優しいか?

 ここ1週間ほど、厚生労働省を中心に社会保障費の増加を抑制するために、医療・介護の改革案を見直しており、ニュースで流れています、その中でも高額療養費制度に関してです。高額療養費制度とは、ある一定を超えた医療費は戻ってくる制度です。

 具体的には、例えば、年収600万円の場合は、「区分イ」に該当し自己負担限度額は167,400円+(総医療費-558,000円)X1%になります。仮に月の医療費が100万円としたら、167,400+(1,000,000-558,000)X1% = 167,400+4,420 =171,820円となります。医療費は一旦医療機関の窓口で3割負担として3割の30万円を支払っているので、30万円-171,820 = 121,180円戻ってくる計算になります。

 で、この高額療養費制度に関して、70歳以上の人の負担限度額を増やすということです。このブログを読んでおられる方は高齢者でないと思うので、お金持ちの高齢者に増やしてもらって、将来の自分たちの医療費が崩壊しないようにしてほしいと賛成されると思います。

 ただし、政府与党は高齢者の負担を増やすことによる選挙への影響を心配して、また、高齢者の方でも財産を持っている人から困窮している人まで同じ土俵上にあげて、か弱い高齢者に対しての仕打ちであると反対している政治家もいます。決着は年内ギリギリになると思いますが、将来に引きずらないようにしないといけないと思います。

 

 

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医療情報は正確性、客観性、最新性が必要です。

 すでにニュースなどで広く知られていますが、DeNAが公開していた医療情報サイトWELQが問題になり閉鎖に追い込まれました。社長も責任を取って30%の減収となったようです。

 インターネット上の情報は玉石混合で正しい判断をするにはそれなりに予備知識や情報を判断する能力が求められますが、これを一般の人に要求することは困難です。また、何が正しいか?何が間違っている?そのカテゴリーによって異なってくるでしょう。例えば料理サイトですと、美味しいとか美味しくないは多分に個人の好みがありますので判断できかねます。また、宗教のような内容もこれ自体、正しい・正しくないと分けることに無理があるようです。

 ところが医療情報は違ってきます。医療情報は、「正確性」「客観性」「最新性」が必要です。つまり「何を根拠に」「誰が」「いつ書いたのか」が正しい判断をする上で重要になってきます。この3点を守って掲載した最初の医療情報サイトは「国立ガンセンター」の患者向け医療情報ページだと認識しています。私がお手伝いしているクリニックのサイトもこの3点を守って掲載しています。

 以前、京都大学がノバルティス社の高血圧薬のディオバンの臨床データを捻じ曲げた事件がありましたが、これこそ正確性が担保されていない情報です。この偽情報で医学のプロである医師達も騙されたのですから、私たち素人はよく吟味しなければならないでしょう。

もう一点、先の会社の社長は、監修をつけて再度オープンしたいという発言をされたようですが、「監修」というのは「その内容に責任を持つ」ということをお忘れではないでしょうか?素人が書いた文書を医師などのプロが責任を持つことはありえません。

 

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在宅医療の看護師

在宅医療で活躍する看護師には、在宅療養支援診療所で医師と行動を供にする看護師と訪問看護ステーションで在宅へ訪問する訪問看護師がいます。

 在宅療養支援診療所の看護師は、医師の補助として看護業務を行い、訪問看護師は医師による訪問看護指示書を元に看護業務を行います。 

 訪問看護師の仕事は、病気や怪我等で在宅で寝たきりの方、医学的管理やリハビリが必要な方、病気や療養生活に不安を抱えている方、あるいはそのご家族のケアとサポートを行うためにご利用者の自宅に直接訪問して、一人ひとりにあった看護を提供することです。 ケアの内容は要介護者によって様々ですが、具体的には、

  • 医師の指示に置よる医療処置(インシュリン注射・点滴等の施行・血糖測定ほか)
  • 血圧・体温・脈拍などのバイタルチェック
  • 医療機器(在宅酸素、人工呼吸器、持続点滴、膀胱カテーテル
  • 褥瘡管理 在宅でのリハビリ(拘縮予防や機能の回復、嚥下機能訓練ほか)
  • 認知症ケア(認知紹介後の相談、事故防止のための工夫)
  • 低栄養や運動機能低下を防ぐためのアドバイス 療養上のお世話(食事、洗髪、入浴の介助ほか)
  • 終末期の看護(ターミナルケア

など多岐にわたっています。この訪問時に家族から相談を受けることがしばしばあるようで、次の訪問先へ遅れることがしばしばあります。看護師さんも人ですから様々な性格の人がおられますが、今までの経験上さっぱりした性格の人がいいようです。

 

 実は、これ以外にも「コミュニティナース」が日本に芽生えつつあります。この記事を読んだ時、涙が出るほど感動しました。ぜひ、日本に定着してほしいものです。

 

www.huffingtonpost.jp

 

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セルフネグレクトに関して考える

 セルフネグレクト問題が頻繁にニュースで流れるようになってきました。セルフネグレクトは、自己放任と言われ生活に関する能力や意欲が低下している状態です。ニュースなどで問題視されるのは高齢者ですが、実は全世代に関してこのような状態になっていますね。よく、テレビなどで若い人の部屋がゴミだらけでこれをボランティアが片付けるという映像が流れていますが、これもセルフネグレクトだと思います。つまり、老弱男女の区別なく、生活意欲が低下している人が多くなっているのが実情です。

 セルフネグレクトに陥っている人には、部屋の中の汚さや匂いということに鈍感になっている傾向があります。鈍感になると、普通の人が汚いとか臭いとか言っても、本人は片付いている、臭わないという感覚になるのでしょう。友人のケアマネージャーが話してくれた実例では、独居の男性高齢者の自宅では、ペットボトルが台所に所狭しと並べられていて、本人はこれで綺麗になっていると錯覚しているそうで、人が見たら異様に見えても、本人はそうは思ってないそうです。

 先に老弱男女に関わらずと書きましたが、私が医療機関で見てきた多くの事例から、特に糖尿病が悪化した人はこの傾向が強いようです。糖尿病が悪化すると、インスリンで治療しなければなりませんが、それに加えて食事指導を行います。しかし、この食事指導の内容がすでに理解できなくなっている、つまりまともな判断能力が低下してきてしまっているのです。食べるという基本的な事柄が理解できなくなっているのですから、部屋の掃除やコミュニケーションといった事柄も理解できなくなってくるのでしょう。

 特に独居高齢者の場合、直接命に関わってきます。多くの地域で見守りなどでセルフネグレクトを減らそうと努力されていますが、今述べたように、その人がどのような食事をしているか、糖尿病などの病気になっていないかどうか?を見ていく必要があるでしょう。

 

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ケアマネージャーの仕事

 まず、介護のサービスを受けるにあたって、最初に対面する人がケアマネージャーという職種の人です。「マネージャー」という言葉からも分かる通り、介護サービス全般のマネージメントを担います。

  1. 介護相談  最初に、ご家族などからじっくり現在の状況を聞き、介護のどのような面で困っているのかを聞きます。医師意見書などを参考にどのようなサービスを組み合わせたら良いかを検討します。
  2. 要介護認定の書類作成  自治体に申請する認定書類は家族でも作成して提出することはできますが、実際は専門的、かつ煩雑で素人にはまず無理です。そのため、ケアマネージャーが執筆代行でして提出するのが一般的です。
  3. ケアプランの作成  さまざまな事柄を考慮して介護サービスのプランを作成します。ケアマネージャーの中核的な仕事です。訪問看護リハビリテーション、入浴サービスなど、法人の違う事業所にまたぐので、本来のマネージメント能力が問われる仕事です。言葉を変えれば、ケアマネージャーの資質で、要介護者の療養の質は大きく左右されるわけです。
  4. その他  他にも、要介護者の状態、サービスの質のモニタリング、主治医との情報交換、介護保険の給付請求など多岐にわたります。

ケアマネージャーは地域包括支援センターや施設や介護支援事業所などにおられます。また、市役所などの福祉窓口などにもおられます。気軽に相談するのがいいでしょう。相談したら契約しなければならないのでは?という心配は不要です。

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医療・介護の改革項目

現在、厚生労働省を中心に見直されている項目を私なりに列挙してみました。医療保険は、「入る」を増やし「出す」を減らす。介護保険もほぼ同様、医療提供体制は、今後の需要に見合った提供体制と地域偏在の是正です。

医療保険
  • 高額療養費の見直し
  • 介護療養病床等の効率的なサービス提供体制への転換
  • 入院時の光熱水費相当額に係る負担の見直し
  • かかりつけ医以外を受診した場合の定額負担の導入
  • 金融資産等を考慮に入れた負担を求める仕組みの医療保険への適用拡大
  • スイッチOTC化された医療用医薬品に係る保険償還率のあり方
  • 後期高齢者の保険料軽減特例の見直し
  • 高額薬剤の薬価等のあり方
  • 生活習慣病治療薬等の処方のあり方
介護
  • 高額介護サービス費制度の見直し
  • 介護保険における利用者負担のあり方
  • 軽度者に対する生活援助サービスのあり方
  • 軽度者に対する福祉用具貸与等のあり方
  • 介護納付金の総報酬割り
  • 介護費の地域の分析と給付の適正化
医療提供体制
  • 地域医療構想に沿った医療提供体制の実現
  • 医療介護総合確保基金の活用
  • 病床再編や地域格差是正に向けた都道府県の体制・権限の整備
  • 介護療養病床等の効率的なサービス提供体制への転換
  • 地域医療構想を踏まえた医療従事者の需給のあり方
  • 医療費適正化計画の策定・実現
  • 外来医療費に係る地域差の是正
  • 医療費適正化計画の進捗状況等を踏まえた診療報酬の特例の活用のあり方
  • 保険者の取り組みを促すインセンティブのある仕組みを構築

家族が介護する場合

 家族は一番身近で、要介護者の性格などを熟知しています。また、同居していればちょっとした変化も気がつきます。しかし、家族だからこそお互いに言いたいことも言えるし、愚痴もこぼしてしまいがちです。そのためギクシャクするケースが多いのも事実です。家族が今までどのような関係を築いてきたかで、介護がスムーズに行えるかどうかが決まってきます。 私たちが見ていても、家族が暖かく要介護者を見守っているケースもあれば、子供達で介護を誰がするかで揉めているケースもあります。

 最近は「独居」という問題がクロースアップされています。子供がいないか、子供が離れて暮らしており、一人暮らしになっている場合家族と医療機関、介護事業所の考えを擦り合せるのに苦労することがあります。また、老々介護といって、片方の配偶者が年齢のせいで十分な介護を出来ない、またはどちらも要介護状態になっているケースもあります。

 また、子供と同居していても子供は日中仕事に出かけており、実質上一人暮らしになっているケースもあります。このような場合、以下に述べるように、ご近所さんや介護サービスに頼ることになります。

 

 さらに、家族以外が介護することができない場合、子供達が仕事をやめて介護に専従してしまう問題が浮き彫りになっています。職を辞する時は、退職金などで何とかやっていけると考えてしまうのですが、実際は要介護者が亡くなり、さて再就職という段になって、再就職ができない、そのまま手持ちの資金が枯渇してしまう。そうなると、生活保護を受けざるを得ない状態になってしまいます。

 

 自分が一番、親のことがわかっているから、ヘルパーに頼むより自分が!という意識があるのですが、介護はプロの仕事です。上手に介護サービスを利用して職を辞することのないようにしてほしいものです。