医療ビジネス

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科学的根拠のない薬は昔からあります

 週刊朝日「最新調査で判明! 科学的根拠の“ない”薬は当たり前に存在した!」という記事が出ました。一般の人には、「そうなんだ!!」と思われるかもしれませんが、この業界では当たり前、というよりも大昔からそうでした。EBM(evidence-based medicine)が注目を集めたのは1998年ごろだと記憶しています。まだ、英語版の書籍しかなく医療関係者はこぞって翻訳本を読んでいたようです。ですので、EBMが日本に紹介されてまだ17年ほどしか経っていません。

 それまでの医薬品の開発は、いろいろな作用を試験した結果、効果の高い適用で厚生労働省に申請して医療用医薬品と世に出していました。例えば、ヘルベッサーという薬剤はもともと向精神薬として開発していたのですが、冠血管拡張作用があることがわかり抗狭心症薬として発売になりました。今では、カルシウム拮抗剤として知られていますが、カルシウムイオンがカルシウムチャンネルを通って細胞内に入ると細胞が収縮するという現象はヘルベッサーの後にドイツで発見されました。このようにとりあえずこれこれに効くから薬にしようという開発が多かったと思います。
ヘルベッサーの開発の歴史は「国立研究開発法人 科学技術振興機構」のページを参照してください。

 また、それぞれの地方で古くから伝わる「これを煎じて飲むと体調が良くなる」といった民間薬も、そもそもエビデンスがないですし、いわゆる漢方薬エビデンスがほぼありません。写真は、牛久にあるツムラの研究所で漢方の歴史を学んでいるところです。ツムラさんもエビデンスを増やすために、臨床試験を始めているところです。

 ですので、科学的根拠のない薬は怖くて飲みたくないと不安に思う人もいると思いますが、民間薬や漢方薬のように長い歴史の経験上有効であると示されてきた薬剤もあると認識する必要があるでしょう。

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*1:牛久にあるツムラの研究所