医療ビジネス

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ITを使わず、ITの考え方を使う

小さなクリニックから大きな病院まで処置室にはさまざな医療機器や医薬品などが使用されており、それぞれに使用期限がある。また、ある医薬品を複数回購入した場合、使用期限が違うものが混在してくることになる。処置室以外にも、在宅療養支援診療所の場合は、在宅鞄の中にも一定量の医薬品などをいれており、置き場所も一定ではない。

以前からクライアント先の看護師さんから「どうしても管理できなくて困っている」という相談を受けていた。この場合、IT担当なら、やおらデータベースソフトを使って管理するということになるだろう。しかしながら、専従の用度課の人間がいるクリニックなど皆無に等しく、また、処置中に急遽棚から薬品などを処置室に持ってくることも頻繁にあり、データベースソフトを使っている余裕はない。

そこで、1ヶ月ほど看護師さんの行動を観察しながらどのようなタイミングで消費されていくのかを観察させてもらった。そして、一つの結論を得る事ができた。それが京大式カードだ。

京大式カードは、言わずと知れた,梅棹忠夫先生の著書『知的生産の技術』で紹介されたもので、商品名としては情報カードなどの名前がついている。この京大式カードを使った在庫管理システムが下記の写真である。下記の写真はその一部でこれが各棚ごとにぶら下がっている。

[caption id="attachment_112" align="aligncenter" width="300" caption="京大式カードで医療器具の在庫管理をする"]京大式カード[/caption]

ここで大事な点をまとめておきたい。

ひとつは、アウトプットは何かという点である。看護師が必要としているアウトプットは、在庫切れをおこしたくないという点である。

二つ目は、処置中のような忙しい時でも、在庫をチェックできる点である。そのためには、一目で分からなければならない。

以上の2点を満足させるために、ITの考え方をうまく利用して、ITを使わずアナログで管理していくという解決策を求めた。その結果が京大式カードだ。

看護師さんには、このシステムをブラッシュアップして、他医療機関や介護施設などに紹介していっていただきたいと思っている。