医療ビジネス

医療や介護の諸問題について解説します。講演の依頼もお受けしております。

医療の現場からMRを見る vol.13  医師の「情報不安症」

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以前、製薬メーカーは情報産業だと言っておりましたが、それはインターネットが一般的に普及する前の話になってしまいました。少し以前までは、医師が情報を得ようとするならば、学会へ出かけるか、学会誌または専門誌に頼らなければなりませんでした。それも、相当製薬メーカーのサポートが必要であったことも事実です。ですのでMRはそれなりに医師それぞれのニーズを掴んで会社が持っている様々な情報をあれやこれやと提供できたわけですし、貢献もできてきたはずです。

 

さて、現在、疾病、治療に関する情報はインターネット上にほぼ生涯を通しても読みきれない、ましては知識として昇華できないほどの量が存在しています。例えばオプジーボpubmedでは2.627件、Google scholarに至っては23,200件の論文が検索できてしまいます。学会も世界中で催されていますし、日本だけに限っても全ての発表、ポスター発表を医師が網羅することは極めて困難な状態です。しかもがん、自己免疫疾患、認知症と病態が非常に難しく、薬剤も今までの低分子化合物ではなく、薬物治療も非常に気をつけなければならない時代になってきました。

 

今、医師の立場から見れば一つの疾病、薬剤に関する情報が爆発的に増えてしまって、「自分が見落としている情報があるかもしれない」という脅迫概念に陥っている状態です。今までは、情報を得る手段がなかったので存在さえも分からなかった論文など目の前に現れてしまって、アップアップしているという状態です

本社のマーケティングの人なども、ベンダーが様々なデータを作って持ってくるので、それに振り回されているのと同じです。昔はm3もケアネットもなかったので大掛かりなデータはIMSぐらいでしたね。

 

このように医師を含め、全ての人々が「情報不安症」という厄介な病気にかかってしまいました。本来なら製薬メーカーの責務としてこの爆発的に増えた情報を個々の医師に対してカスタマイズし提供しなければならないはずですが、今、製薬メーカーができることはDI情報だけになってしまい、本来の情報産業という姿からはほど遠いものになってしまっています。

 

 

 

How AI is driving new medical frontier for physician training

昨晩、大学病院の外科医と食事していた時に、この記事の話題を出したらとてもびっくりしていたし、とてもすばらいい取り組みだと言っていました。しかも、この記事がアメリカ医師会のサイトにあることです。アメリカ医師会は新しいテクノロジーに非常に積極的に関わってきております。さらに、この記事の真骨頂はデューク大学医学生が今までと違った視点から疾病を解決しようとしていることです。当たり前のことですが、医療の世界もテクノロジーはどんどん入り込んでいますし、今までは外部のテクノロジーを医療に融合させてきていたのを、医療の中心からテクノロジーを生み出していこうといていることです。

wire.ama-assn.org

How AI is driving new medical frontier for physician training

昨晩、大学病院の外科医と食事していた時に、この記事の話題を出したらとてもびっくりしていたし、とてもすばらいい取り組みだと言っていました。しかも、この記事がアメリカ医師会のサイトにあることです。アメリカ医師会は新しいテクノロジーに非常に積極的に関わってきております。さらに、この記事の真骨頂はデューク大学医学生が今までと違った視点から疾病を解決しようとしていることです。当たり前のことですが、医療の世界もテクノロジーはどんどん入り込んでいますし、今までは外部のテクノロジーを医療に融合させてきていたのを、医療の中心からテクノロジーを生み出していこうといていることです。

wire.ama-assn.org

日本の医療政策、技術革新に逆行 デービッド・リックス氏

9/14日経新聞にイーライ・リリーのCEOであるDavid A. Ricks氏のコラムが掲載されました。すでに読まれた人も多いと思います。製薬企業が一つの薬剤を上梓するまでに、膨大な研究開発費を投じています。それは、膨大な種類の化合物が基礎研究、非臨床研究、臨床試験、そして治験を経ていく過程でふるい落とされていきます。20世紀はまだ手当たり次第という感じがあったようで、結局何もできなかったという事も多々ありました。その後、原子レベルから設計していくのでかなり的を正確に撃てるようになったのですが、現在取り組んでいるガン、認知症などまだ解決されていない病気に関しては、今までのアプローチではなく、新たなイノベーションを必要としています。そのためには相当な研究開発が必要なわけでそのためには薬剤の価格つまり薬価が高止まりしていなければなりません。しかし、特許が切れると後続薬が続々と出て来ます、後続薬が出るまでに次の新薬を出さなければ企業は立ちゆかなくなります。会計のキャッシュフローのようなイメージです。日本はどうか?その件についてはRicks氏のいう通りです。

 

www.nikkei.com

医療の文化的変容

以前自分のブログにも書いたことがあったが、医療の変革に必要なのは文化的変容です。

20年ほど前までは、一般の人が病気に関して調べようと思ったら「家庭の医学」という分厚い辞書みたいな本を読むしかなかったのですが、インターネットの普及に伴い病気の知識を必要に応じて調べることができるようになり、さらにスマートフォンによる健康管理、そして患者のスマートフォン医療機関の医療データの相互接続と医療者と患者のギャップは失われつつあります。

 

その過程で患者はより自身の健康や病気に対して能動的に対処できるようになりました。これらのことから病気は医療者から治療を受けるサービスというレベルから医療者とともに解決するというレベルに来ています。この記事はそれを思い出させてくれました。

 

medicalfuturist.com

人口の5分の1は30年で健康寿命が終わる

The Timesに昨日掲載された記事で、ネット上では反響を呼んでいるようです。この記事を日本と照らし合わせて考えると、

1)日本では、亡くなるまでの遡って男性で9年、女性で12年「健康でない状態が続く」ので、この期間を短くするのが健康寿命を延ばすという考えです。つまり介護を中心に考えているわけですが、イギリスの場合は生涯を通して健康でいられる年数を考えています。そのために、慢性疾患の撲滅をNHSは取り組んでいくのです。

2)このようなデータが出せたのはアウトカムベースのヘルスケア(OBH)の研究で、GPおよび病院の記録から得たデータを使用して、人々の健康を判断している点です。

3)日本では健康寿命を延ばすことで介護費用を減らすことができるとしていますが、イギリスではこれらの研究から健康寿命を長くすれば医療費削効果があるとしています。

4)日本の場合は働き盛りの30代や40代で高血圧や糖尿病などの慢性疾患を罹患していても、薬で抑えられているなら一応健康と位置付けていますが、イギリスではすでにそれは健康ではないと位置付けている点です。

私は、この4点目が非常に大事な点ではないかと考えます。

www.thetimes.co.uk