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民生委員の理解を深める

先日のケアカンファレンスでは、地域包括支援センターのケアマネに来ていただき、介護の立場から在宅医療を語っていただいた。その後、2例ほどの実例を見ながら、医師、看護師などを交えて意見交換を行った。今回の事例では、独居老人の問題でいろいろ勉強することができた。

それは、民生委員に関してだ。民生委員法は昭和23年に出来た法律で(昭和二十三年七月二十九日法律第百九十八号)当時は敗戦から立ち直り始めたばかりのころであり、この法律の目指すところは現在と相当違っていると言わざるを得ない。現在、民生委員の職務として第14条には次のように規定されている。平成13年に改正されているので、昭和23年当時とは違っていると思う。

第十四条  民生委員の職務は、次のとおりとする。

一  住民の生活状態を必要に応じ適切に把握しておくこと。

二  援助を必要とする者がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように生活に関する相談に応じ、助言その他の援助を行うこと。

三  援助を必要とする者が福祉サービスを適切に利用するために必要な情報の提供その他の援助を行うこと。

四  社会福祉を目的とする事業を経営する者又は社会福祉に関する活動を行う者と密接に連携し、その事業又は活動を支援すること。

五  社会福祉法 に定める福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)その他の関係行政機関の業務に協力すること。

地域で一人暮らしをしている人を見守る体制は、町内会や自治会をひとつの括りとして民生委員が見回っているケースが多い。昔ながらの地域では、この連携が非常にしっかりしているが、新興住宅地では隣どおしでのお付き合いも薄い。なおかつ、過度なプライバシー保護の為に町内会名簿なども限られた人だけが持っているケースが多く、民生委員にとっては活動しにくくなってきている。特に問題は介護に関してである。ケアマネとの連絡のやり取りや、役所の担当窓口との折衝や、縁故者への連絡、一番時間が取られるのが、介護計画を立てるときのカンファレンスへの出席だ。しかし、民生委員は基本的にボランティアで交通費以外は請求できないのである。福祉関係者や医療関係者などは仕事として成り立っているが、民生委員はまったくのボランティアであるにも関わらず、非常に頼り切られているのが現状である。しかも、民生委員の処遇に関する議論は皆無といってもよい。これでは、早晩民生委員に頼りきっている独居老人の見守り体制は崩れてしまうだろう。