医療ビジネス

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医療現場からMRを見る 1

この投稿は、製薬メーカーの方向けのコラムです。

MRというのは、製薬メーカのいわゆる営業マンです。営業マンですが、他の業種と違って、商品の売買には直接関係しません。MRは医療機関へ出向いて医師などに面接して自社の薬剤の情報を届けることを旨としています。

ですので、他の業種の営業とは求められる能力が少し違います。ただ、どの職業でもそうであるように、MRにも優秀な人、並の人、どうでもいい人と分けることができます。そして、訪問されている企業30社あまりのMRのうち、優秀な人は2、3人、並の人は5、6人、それ以外は問題外と私は見ています。あくまでも感覚的に数えているだけですが、若手の医師と話していると、だいだい同じような感想を持っているようです。

 

 今、これを読まれている貴方の会社のMRさんが上位3社に入っているかは、ご想像にお任せしますが、実は、優秀なMRでさえも、かなり緩めに判定しているのが現状で、実のところ、医師の要求に応えられるMRは皆無に近いです。その原因はMRにあるのか?会社の教育にあるのか?営業戦略にあるのか?このあたりを私が経験した具体例を挙げて考えていきましょう。

 

 まず、社会人として成熟していないMRがいるということです。このようなMRはそのまま年数を重ねていくと、単に横柄なMRになっていく傾向があるようです。医師へのディテーリングはソツなくこなすようになっていくのですが、医師以外のスタッフには概して評判が悪いようです。どんなに親しくなっても礼節を弁えることができるかどうかは、大変重要なポイントです。

 

 ひとつ私が目撃した事例をご紹介しましょう。ある医院の玄関は狭く、ひとりの患者さんが通るのにギリギリの幅です。しかもガラスの重たい扉です。健常者が扉を開けて出入りするにはそれほど難しいことはないのですが、高齢者が通り抜けるには、少々時間がかかります。杖をつく高齢者の場合は2、30秒ほどかかります。扉を開ける、もう一度扉を開ける、そして靴を脱ぐ、スリッパを履く、靴を靴棚に入れる、待合室に入る。そのような状況です。このような場合、我々は高齢者の患者さんが無事出入りできた後に出入りするのが通例です。

 

 しかし私が受付から目撃したのは、高齢者の押しのけて入って来たMRです。彼の目的は医師への面談のみで、それ以外は障害物であるようです。この事例は2つの重要なことを教えてくれています。まず、人間として弱い立場の人を守るという基本的な考え方が欠如しているという点、もう一つは製薬メーカーとしての社会的責任(患者を助けるという責任)が欠如しているという点です。

 

 おそらく、導入研修時にこのような基本的な事柄は教えられているはずですが、1人で行動していくうちに、忘れ去られているのではないでしょうか?先ほども申しましたが、後々尾を引いてしまう大変重要なポイントなのです。次回も引き続き事例をご紹介しながら考えていきましょう。

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