医療の現場からMRを見る vol.2
まず、社会人として成熟していないMRがいるということです。このようなMRはそのまま年数を重ねていくと、単に横柄なMRになっていく傾向があるようです。医師へのディテーリングはソツなくこなすようになっていくのですが、医師以外のスタッフには概して評判が悪いようです。どんなに親しくなっても礼節を弁えることができるかどうかは、大変重要なポイントです。
ひとつ私が目撃した事例をご紹介しましょう。ある医院の玄関は狭く、ひとりの患者さんが通るのにギリギリの幅です。しかもガラスの重たい扉です。健常者が扉を開けて出入りするにはそれほど難しいことはないのですが、高齢者が通り抜けるには、少々時間がかかります。杖をつく高齢者の場合は2、30秒ほどかかります。扉を開ける、もう一度扉を開ける、そして靴を脱ぐ、スリッパを履く、靴を靴棚に入れる、待合室に入る。そのような状況です。このような場合、我々は高齢者の患者さんが無事出入りできた後に出入りするのが通例です。
しかし私が受付から目撃したのは、高齢者の押しのけて入って来たMRです。彼の目的は医師への面談のみで、それ以外は障害物であるようです。この事例は2つの重要なことを教えてくれています。まず、人間として弱い立場の人を守るという基本的な考え方が欠如しているという点、もう一つは製薬メーカーとしての社会的責任(患者を助けるという責任)が欠如しているという点です。
おそらく、導入研修時にこのような基本的な事柄は教えられているはずですが、1人で行動していくうちに、忘れ去られているのではないでしょうか?先ほども申しましたが、後々尾を引いてしまう大変重要なポイントなのです。次回も引き続き事例をご紹介しながら考えていきましょう。