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第15回日本在宅医学会大会

3月30日、31日の両日、松山で第15回日本在宅医学会大会が催された。今回は、昨年度に在宅医療連携拠点事業も行われた関係で多数の人が参加していた。私も拠点事業のポスター発表会の為に3月は準備に追われていた。今大会の目玉となるフレーズは「多死社会」である。段階の世代がこれから高齢者となり、いきなり医療機関はパンクしてしまう事が明白になっている。その前に手を打たないと行き場のない患者が溢れてしまうことになる。この在宅医療という目前に迫った問題に対して、医療側だけのアプローチではまったく片手落ちであり、医療・介護・行政の三位一体の取り組みが重要であることが、各発表で再認識された。大阪市東成区医師会会長中村正廣先生はシンポジウムの発表で全国的に見ても介護分野だけが苦労しているケースが目立っており、逆に医師が一番フットワークが悪い状態であると述べられているように、どこが欠けてもうまく稼働しないのがこの在宅医療である。行政を見ると県からの指示がないため予算がつかない、人手が足りない、そもそも関心がないなどが見受けられ、また医療を見ると、医療者自身が高齢化の為に動けない、他市の病院に患者を回せばいい、外来で十分経営が成り立っているなどが挙げられた。このような中で比較的うまく稼働しているのが千葉県柏市であり、柏モデルとして評価されているし、今大会のシンポジウムでも市役所職員が発表するという力の入れようである。

また、今大会長であるたんぽぽクリニックの永井康徳先生の大会長講演では、俵津プロジェクトが紹介された。詳細は割愛するが、このフレームワークは実に参考になり全国的にこの考え方が広まればと感心して聴講した。この講演で特に、市町村レベルに具体的な方策を進めなければいけないが、すこし上から眺めてみること、つまりもうすこし広い医療圏ののレベルで考えてみる事の大切さを実感した。

余談になるが、帰宅したら、NHK夜7時の全国ネットのニュースで取り上げられていた。正直なところ、循環器学会や糖尿病学会などような大きな学会ではないけれども、それ以上に国民の大きな感心事であった事に驚いている。

[caption id="attachment_223" align="aligncenter" width="300"]看板 松山市ひめぎんホールで行われた。[/caption]

[caption id="attachment_225" align="aligncenter" width="300"]シンポジウム サブホールでのシンポジウムの様子[/caption]

[caption id="attachment_226" align="aligncenter" width="225"]ポスター発表 来場者に説明しているのが私。[/caption]

[caption id="attachment_228" align="aligncenter" width="300"]大会長講演 永井先生の講演は示唆に富んだ内容の濃いものだった。[/caption]