How AI is driving new medical frontier for physician training
日本の医療政策、技術革新に逆行 デービッド・リックス氏
9/14日経新聞にイーライ・リリーのCEOであるDavid A. Ricks氏のコラムが掲載されました。すでに読まれた人も多いと思います。製薬企業が一つの薬剤を上梓するまでに、膨大な研究開発費を投じています。それは、膨大な種類の化合物が基礎研究、非臨床研究、臨床試験、そして治験を経ていく過程でふるい落とされていきます。20世紀はまだ手当たり次第という感じがあったようで、結局何もできなかったという事も多々ありました。その後、原子レベルから設計していくのでかなり的を正確に撃てるようになったのですが、現在取り組んでいるガン、認知症などまだ解決されていない病気に関しては、今までのアプローチではなく、新たなイノベーションを必要としています。そのためには相当な研究開発が必要なわけでそのためには薬剤の価格つまり薬価が高止まりしていなければなりません。しかし、特許が切れると後続薬が続々と出て来ます、後続薬が出るまでに次の新薬を出さなければ企業は立ちゆかなくなります。会計のキャッシュフローのようなイメージです。日本はどうか?その件についてはRicks氏のいう通りです。
医療の文化的変容
以前自分のブログにも書いたことがあったが、医療の変革に必要なのは文化的変容です。
20年ほど前までは、一般の人が病気に関して調べようと思ったら「家庭の医学」という分厚い辞書みたいな本を読むしかなかったのですが、インターネットの普及に伴い病気の知識を必要に応じて調べることができるようになり、さらにスマートフォンによる健康管理、そして患者のスマートフォンと医療機関の医療データの相互接続と医療者と患者のギャップは失われつつあります。
その過程で患者はより自身の健康や病気に対して能動的に対処できるようになりました。これらのことから病気は医療者から治療を受けるサービスというレベルから医療者とともに解決するというレベルに来ています。この記事はそれを思い出させてくれました。
Service Design in emergency waiting room
UXに関して面白い動画を見つけたので、記録のために貼り付けておきます。
人口の5分の1は30年で健康寿命が終わる
The Timesに昨日掲載された記事で、ネット上では反響を呼んでいるようです。この記事を日本と照らし合わせて考えると、
1)日本では、亡くなるまでの遡って男性で9年、女性で12年「健康でない状態が続く」ので、この期間を短くするのが健康寿命を延ばすという考えです。つまり介護を中心に考えているわけですが、イギリスの場合は生涯を通して健康でいられる年数を考えています。そのために、慢性疾患の撲滅をNHSは取り組んでいくのです。
2)このようなデータが出せたのはアウトカムベースのヘルスケア(OBH)の研究で、GPおよび病院の記録から得たデータを使用して、人々の健康を判断している点です。
3)日本では健康寿命を延ばすことで介護費用を減らすことができるとしていますが、イギリスではこれらの研究から健康寿命を長くすれば医療費削効果があるとしています。
4)日本の場合は働き盛りの30代や40代で高血圧や糖尿病などの慢性疾患を罹患していても、薬で抑えられているなら一応健康と位置付けていますが、イギリスではすでにそれは健康ではないと位置付けている点です。
私は、この4点目が非常に大事な点ではないかと考えます。
Eisai-Biogen to advance Alzheimer's drug, provide fresh hope
すでに今月初めにエーザイ&バイオジェンのBAN240の第2相試験の成功のニュースが流れました。現在、両者は第3相試験の準備に入っており、これらの詳細は今週行われるthe Alzheimer’s Association International Conference で明らかになるようです。
いつも思うことですが、創薬に関して、どのような試験デザインをするかによって結果が変わってきます。天と地ほどの違いがあります。昔は試験デザインがゆるくていい意味で間違って別の効果のある薬剤になるというケースもありました。しかし、今はかなり精緻な設計をしているようで、この記事の中にあるように 評価スケールを新たにすることによって、今までエンドポイントでの評価を後期患者に当てはめていたものを、ここには書かれていませんが、初期の患者のを評価するものに変えているようです。また、私も勉強不足で知らなかったのですが、治験においてベイズ統計学を使うようになっているのには驚きました。