医療ビジネス

医療や介護の諸問題について解説します。講演の依頼もお受けしております。

中国のグローバリゼーション

 

医療の現場からMRを見る vol.2

 最近は、どのメーカーさんも医師データを活用して重要な医師にピンポイントで面談するようになっています。

それゆえ、どうしても重要なクリニックにはMRが集中する傾向があります。

 

診察終了後、待合室はMRだらけになっています。彼らを観察しているといろいろ分かります。

静かに社名を呼ばれるのを待つのが普通ですが、どうしても時間がかかってしまうので、足を組んでしまう人もでてきます。さらに、ノートパソコンを開けて、なにやら内職をする人も出てきます。待つことも仕事のひとつです。

待っている間でも、面談時のシミュレーションは頭の中でできるはずです。

 

 極端な例かもしれませんが、午前の診療も終わって、私は院長と談笑をしています。

それから、MRを呼びます。1人のMRが部屋に入ってきますが、MRは黙っています。院長が「今日はなに?」と聞くと、講演会のパンフレットを差し出します。

 

最近の傾向か?自分から話を持ちかける能力が不足している人が多いように感じます。

こちらから話しかけると、会話に入っていけるのですが、自分からは話が切り出せないようです。

このMRは、人見知りだと本人も認めていますが、訪問されるMRの半分は、人見知り傾向があるようです。

前回の話に出て来た図々しい人も困りますが、人見知りも困ります。

 

このあたりのコミュニケーション能力を各メーカーはどうされているのか?長い時間待合室で待って、やっと面談できた貴重な時間ですから、もう少し密な会話ができるようになってほしいものです。

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医師とAI

 

医師は、大学病院ならカンファレンス、個人の開業医なら製薬メーカー主催(これが問題になっているんだが、ここは目を瞑って)の勉強会で他の医師と意見交換をしながら疾患に対する多くの医師のアプローチを学ぶことができる。但し、個人病院や開業医はそのような機会がないか、もしくは、出席するのが面倒、などあまり勉強したがらない人が多い。こういう医師は自分だけの知識で患者を診察、薬剤を処方したりする。

特に問題なのは、認知症も含めた精神疾患である。認知症を理解できない医師は相当多く、漫然とアリセプトを処方してしまっており多くの患者が副作用で苦しんでいる。

AIが普及すると、診察室でAIが専門医の意見を集約して、非専門医にアドバイスすることができ、結果的に患者に対してより良い結果をもたらすことができるだろう。

日経メディカルにインタビューを受けるほどの医師であれば、この程度の意見は述べていただかないといけない。編集部ももっと突っ込んだインタビューをすべきである。

 

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ScienceMagazineのローカライズができるまで

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ScienceNatureの違いは最後に書いてますので参照してください。

 

ScienceMagazineローカライズAAASの悲願でした。日本でローカライズをしてくれる組織を探していたのは、今から20年ほど前です。すでに、日本では湯川秀樹博士や朝永振一郎博士、江崎玲於奈博士、福井謙一博士、利根川進博士と多くの科学者の受賞者を排出していましたが、一時期から日本人の論文投稿が少なくなっていたようで、日本人の論文投稿を増やしたいと願っていたようです。まだ、日本では、カール・ケイ氏が個人で日本の事務所を開設していたような状況でした。

 

私は当時田辺製薬に勤めていて、ドクター向けのWebサイトを立ち上げる構想を練っていました。まだその頃は、企業サイトもほとんどなかった時代です。MRに変わる新しい情報提供手段としてインターネットに目をつけていた時、当時の三和銀行の紹介で、(株)大伸社の上平豊久氏が訪問されました。何回かお会いしたとき、AAASScienceMagazineローカライズ先を探しているという話を伺い、これはキラーコンテンツになると直感した私は、上平氏に必ず役員を説得するので他社に話さないでほしいとお願いしました。それから1年、何回となく企画書を作り直して説得した結果、役員会でGoが出ました。

 

Scienceの翻訳は、村瀬澄夫先生(当時 信州大学 医療情報部教授、現在 むらせシニアメンタルくりにっく院長)が統括の元、翻訳会社の(株)アスカコーポレーションが実務を受け、実際の翻訳作業は京都大学大学院のそれぞれの専門の院生がやってくれました。村瀬先生がその週の論文から翻訳候補の論文を2、3本を選び、abstractを翻訳するという流れです。当然、世に出ていない概念や新しい言葉など、大学院生のみなさんの苦労は相当なものだったと思います。論文のタイトルは全て翻訳していたと記憶しています。

 

1998年、田辺製薬Webサイトは、このscienceの目次の日本語化と、毎週2,3の医薬に関連するabstractの訳の掲載を始めました。もちろんのこと、大きな反響をいただきました。今まで英語でしか読めなかった論文のタイトルだけでも目を通すことができるようになったのです。抗菌薬インターネットブックのコラムのところにも書きましたが、科学技術庁の「科学者が見るべき100のホームページ」に「抗菌薬インターネットブック」と並んでこの「Science日本語版」も紹介されました。

 

 実際の翻訳は次のように流れました。AAASから2週間前に日本の(株)アスカコーポレーションに原稿が届き、これを村瀬澄夫教授が見て、abstractを日本語訳する論文を選定します。その後、翻訳を行い、医薬事業本部にて最終チェックを行いました。(株)アスカコーポレーションと医薬事業本部のチェックはメーリングリストを使って行っており、このやり取りは私もウォッチしていました。訳が確定したら、原稿は(株)大伸社へ送られここでHTML化されます。そして、金曜日の午後に(株)大伸社からワークサーバへ上げられ、ここで私の方で、訳が正しく反映されているか?、HTMLは正しいか確認します。その後、アメリカのオリジナルのSciencemag.orgが更新されたのを確認したのち、こちらの日本語版をアップロードします。

 

20世紀から21世紀をまたぐこの時期、遺伝子解析のニュースが毎日のように流れていて、当然、Scienceショウジョウバエの論文が毎週のように載っていた時期です。科学がものすごいスピードで変化していく様をツブサにみることができました。そして、日本人の論文投稿も徐々に増えてきました。圧巻は、イトカワを特集した号です。ほぼ日本人研究者の論文で埋め尽くされました。さらにその後の日本人の科学分野でのノーベル賞も多くなったことはご存知のことと思います。

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私自身は、そのきっかけを作っただけですが、それでも日本の科学に少しだけですが、貢献できたことを誇りに思っています。

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ScienceNatureの違い

NatureScienceはご存知の通り、この2誌に論文が載るとノーベル賞が近づくと言われる権威のある雑誌ですが、この2誌は全くその成り立ちが違います。NatureはイギリスのMacmillan Publishers Limited,が発行している雑誌です。そのため、大きな書店や専門書店に行けば購入することができます。一方、Scienceトーマス・エジソンが興した米国科学振興協会(The American Association for the Advancement of Science(AAAS) (とりぷるえーえす))が発行している会員誌です。そのため、書店では売っておらず、会員になると郵送されてきます。

 

よく間違えられるのは、日経BP社が発行している「日経サイエンス」ですが、全く別物です。当時、日経BP社もAAASScience誌のローカライズを交渉していたそうです。宮田満さんは自社で契約できなかったことが相当残念だった事をこぼしておられました。

 

現在、(株)アスカコーポレーションが事務局をしており引き続き日本版を掲載しています。

 

 

 

医療現場からMRを見る 1

この投稿は、製薬メーカーの方向けのコラムです。

MRというのは、製薬メーカのいわゆる営業マンです。営業マンですが、他の業種と違って、商品の売買には直接関係しません。MRは医療機関へ出向いて医師などに面接して自社の薬剤の情報を届けることを旨としています。

ですので、他の業種の営業とは求められる能力が少し違います。ただ、どの職業でもそうであるように、MRにも優秀な人、並の人、どうでもいい人と分けることができます。そして、訪問されている企業30社あまりのMRのうち、優秀な人は2、3人、並の人は5、6人、それ以外は問題外と私は見ています。あくまでも感覚的に数えているだけですが、若手の医師と話していると、だいだい同じような感想を持っているようです。

 

 今、これを読まれている貴方の会社のMRさんが上位3社に入っているかは、ご想像にお任せしますが、実は、優秀なMRでさえも、かなり緩めに判定しているのが現状で、実のところ、医師の要求に応えられるMRは皆無に近いです。その原因はMRにあるのか?会社の教育にあるのか?営業戦略にあるのか?このあたりを私が経験した具体例を挙げて考えていきましょう。

 

 まず、社会人として成熟していないMRがいるということです。このようなMRはそのまま年数を重ねていくと、単に横柄なMRになっていく傾向があるようです。医師へのディテーリングはソツなくこなすようになっていくのですが、医師以外のスタッフには概して評判が悪いようです。どんなに親しくなっても礼節を弁えることができるかどうかは、大変重要なポイントです。

 

 ひとつ私が目撃した事例をご紹介しましょう。ある医院の玄関は狭く、ひとりの患者さんが通るのにギリギリの幅です。しかもガラスの重たい扉です。健常者が扉を開けて出入りするにはそれほど難しいことはないのですが、高齢者が通り抜けるには、少々時間がかかります。杖をつく高齢者の場合は2、30秒ほどかかります。扉を開ける、もう一度扉を開ける、そして靴を脱ぐ、スリッパを履く、靴を靴棚に入れる、待合室に入る。そのような状況です。このような場合、我々は高齢者の患者さんが無事出入りできた後に出入りするのが通例です。

 

 しかし私が受付から目撃したのは、高齢者の押しのけて入って来たMRです。彼の目的は医師への面談のみで、それ以外は障害物であるようです。この事例は2つの重要なことを教えてくれています。まず、人間として弱い立場の人を守るという基本的な考え方が欠如しているという点、もう一つは製薬メーカーとしての社会的責任(患者を助けるという責任)が欠如しているという点です。

 

 おそらく、導入研修時にこのような基本的な事柄は教えられているはずですが、1人で行動していくうちに、忘れ去られているのではないでしょうか?先ほども申しましたが、後々尾を引いてしまう大変重要なポイントなのです。次回も引き続き事例をご紹介しながら考えていきましょう。

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CCRCは高齢者の年金と資産を当てにした非生産ビジネスモデル 〜松江市Rubyとの比較〜

CCRCという言葉を聞いたことはあるでしょうか?Continuing Care Retirement Communityの略で、官邸の日本版CCRC構想有識者会議 では、「東京圏をはじめとする高齢者が、自らの希望に応じて 地方に移り住み、地域社会において健康でアクティブな生活を送るとともに、医療 介護が必要な時には継続的なケアを受けることができるような地域づくり」 と定義づけています。また、その意義として、高齢者の希望の実現、地方へのひとの流れの推進、東京圏の高齢化問題への対応の3つの点をあげています。高齢者が実際に地方への移住を希望しているかどうかは、アンケート手法によって相当開きがあることがわかっていますが、要は、高度成長時代に都市部に集中した人たちが今や高齢者となって、医療費や介護など負担増、さらにこれを支える医療従事者、介護従事者の不足を解決するために、地方への移住を促して、需要と供給をバランス化しようというのが狙いであることは明白です。

 

このCCRCを推進するために、内閣府地方創生推進室は「地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金」を創設しています。ただし、この交付金CCRCだけのものではなく、ベンチャー支援などいわゆる地域活性の事業に交付しています。CCRCに限れば、260の自治体が既に実施しているか、または計画しているようです。(日本版 CCRC 構想有識者会議委員 松田智生氏 )

 

以下の表は、大和証券株式会社が日本版CCRC構想有識者会議用として出した資料の抜粋です。出所はここです。

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これを見るとわかるように、移住者はCCRCの居住空間を購入するか、賃料を払うことになります。このお金が事業者やREITに回ってくるのが根本的なビジネスモデルです。しかし、よく考えてみたら、CCRCをやろうとする地方自治体にこのような事業者がいるはずもなく、結局は首都圏の事業者やデベロッパーが儲かることになるわけです。さらに、移住者はそれ自体、既にリタイアしているので新たな経済的価値を生むことはありません。結局、彼らが払うべきお金は、購入するにしても賃料を払うにしても、彼らの現在持っている資産及び、これらから給付される年金しかありません。地方自治体にすれば、CCRC施設(ヘルスケア施設、病院、介護施設など)が増えたりしますが、それは、自治体の中での資産の移動だけであって、自治体の外からの資本の流入はないことになります。これでは、自治体として足腰を強くすることはできないのは明白です。あえて、外部流入としてあげるとすれば、地方交付税が増えることくらいでしょう。

 

高度成長期時代を生きたきた世代はお金を持っています。彼らのお金(休眠資産)を経済の流れに乗せること自体は悪いことではないし、有効活用することは良いことでしょう。しかし、高齢者の世代の中で経済が回ること自体に疑問を感じないわけにはいきません。今後、高齢者が増えていくにしても、団塊の世代がいなくなった時に、日本を支える地力はどこにあれば良いのでしょう。50年先、CCRCは必要あるでしょうか?今の高齢者問題に目が行き過ぎるあまり、次の時代への投資がなければどうなるのでしょうか?

 

私は先の投稿でも若い働き手にもっと医療費を回して、働きやすい環境が必要だと書きました。若い世代までが今の高齢者のために働くことはナンセンスであるという考えです。

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さて、副題に「松江市Ruby」をあげた理由がお分かりいただけるのでないでしょうか?知らない人のために簡単にいうと、Rubyとは日本で開発された(まつもとゆきひろ氏が開発した)プログラミング言語であり、国際規格に認証された有名な言語です。まつもとゆきひろ氏が松江市出身ということもあり、松江市Rubyを使った町おこしをしており、多くの若者が松江市に集っています。さらに学校でもRubyを教える授業があり、今後、「Rubyのまち 松江市」として新たな地域ブランドを創生する取組みを行なっています。情報サービス業として取引流入額は2013年には143億円と年々増加傾向にあるようです。(経済産業省の資料による)

 

Ruby一つで大きな効果を生むということではなく、これをテコに情報産業の育成に取り組んでいく、若い人たちが松江市に移住してきてそこで新しいビジネスを起こして、松江市外からの資金を増やしていく、これこそ地方自治体の地力であると言えるでしょう。CCRCが悪いのではなく、CCRCを動かす原資を高齢者の資産に頼っていること自体、日本の創生に直結していないことに憂慮するとともに、これから日本を作っていく人たちにどうやって高齢者の資産を回すことができるか考える必要があるでしょう。

 

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患者調査から何が見えるか? その2 働き手にもっと医療費を

堺屋太一さんは大の女子プロレスファンで、一度誘われて、大阪で女子プロレスの試合を見に行ったことがあります。氏が経済企画庁長官だった時で、いわゆるお忍びの女子プロレス観戦で周りを囲む壁の役割だったんだなぁと今になって懐かしく思い出します。氏はが朝日新聞の4日の夕刊に『2020年代「3度目の日本」創造』というコラムを寄稿されています。氏は「団塊の世代」という言葉を作った本人であり、ちょうど私が書きたいと思ったことと少し重なるところからご紹介します。

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団塊の世代70歳代後半に突入していく。彼らは日本を反映させてきましたが、年金や医療費などの社会保障費を食いつぶし去っていく。問題は、その後。荒涼たる日本が残るのか。それとも新しい楽しみが生まれるのか。

 

若い世代は、自分が何が好きなのかを一人ひとり考え、それを実行してほしいですね。世間から笑われたり、そんなの無駄やと言われてもいい。

 

さて、患者調査からわかることの第2弾です。下のグラフを見ていただければ一目瞭然です。同じ平成26年の厚生労働省の発表資料から年代別の医療費を表しています。65歳以上のリタイア組が約24兆円(全体の60%)を使っています。しかし、34歳までは5兆円、中年世代は12兆円弱と極端に差が出ています。

 

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上のグラフと比較して、次の年代別グラフを見ましょう。同様に厚生労働省が発表した人口動態表から作図しました。平成26101日現在の日本人の人口です(外国人が入っていません)これを見ると、3564歳の人口が65歳以上の人口とほぼ同等であることがわかります。さらに15歳ー64歳のいわゆる就業できる人口は64歳以上を上回ることになります。

 

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65歳以上のリタイア組の医療費は当然あちこち体が悪くなることがあるとしても、あまりにも人口と照らし合わせてみて異常にアンバランスであることがわかります。ここまで見て、若い人たちは、病気にならないから、当然医療費がかからないのは当然で、相対的に65歳以上の医療費が多いのは当然のことであるとの見解もあるでしょう。しかし、本当にそうでしょうか?

 

若者を取り巻く環境は以前と比べて劣悪だと感じます。うつ病統合失調症ADHD、などの精神関連の疾患は蔓延しています。それ以外に、片頭痛喘息アレルギー生理による不快感。これらは働く世代にとって防がなければならない問題です。働く世代が内的環境を良くすることによって、より働きやすくしなければならない、そのために高齢者の医療費の何割かでもこの世代に振り向けなければなりません。

 

高齢者には申し訳ないが、すでにこの年代が生み出した経済効果は食いつぶされています。働く世代が生み出すGDPは彼ら本人に還元されるべきです。特に精神疾患の問題は立ち遅れていると言わざるをえません。

 

患者調査から見えるものは何か?それは、社会保障をすることで日本の経済効果が低くなっている、そう考えると日本を強くするためにより日本を強くする社会保障政策をしなけれならないのではないでしょうか。

 

=>患者調査から何が見えるか? その1 

 

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